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SHOP ~INTERVIEW~

釣道楽屋 サバロ

日本橋三越本店から歩いて2分。カクテルバーを思わせる赤いネオン管の看板に、ブラックマーリンが見える。日本トップクラスのロッドビルディングショップ「釣道楽屋 サバロ」だ。店内には、フライフィッシングのマテリアルやライン、ルアー用品、さらに石鯛用の道具などが展示されているが、それら以上の面積を占める品は、ロッドビルディング用のパーツ。「好きな釣りだけをしたいのと同じように、売りたいモノだけを売りたいのよ。魚釣りを楽しむ道具って、魚を獲るための漁具とは違うでしょ?だから人生をかけて楽しめる釣り道具を揃えているわけ」と、今回お話しを伺ったのは、世界のEIZOと呼ばれ、釣り業界に多大な影響をもたらした、サバロ創業者の丸橋英三さんだ。長年大物と対峙してきたからだろうか、眼光鋭く、声も大きい。そんな丸橋さんに、サバロを始める前はどんなお仕事をされていたのか?と質問をしてみた。
「1973年4月だったかな。太陽って店を有楽町に出したんだ。今のサバロとは違う、いわゆる釣具の量販店だよ。20年以上続けて、もっと本質的な魚釣りを提案していきたいと思ってサバロに転身したということになるな」
時代の魚釣りブームに後押しされ、太陽は大繁盛だった。とは言え、丸橋さんにとっては若干24歳という若い起業だった。

 

※サバロ:ターポンを意味するスペイン語

 

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「もともと家が寿司屋をやっていたから、その店を釣具屋に改装しただけだよ。他から見たら破天荒な息子だったんだろうな」と豪快に笑い飛ばすが、事実、店は大当たりした。ただ、「本当の魚釣り」を追い求めていた丸橋さんの心情には、時間と共に釣具量販店を経営し続けることに違和感が生まれ始めていたという。
「量販店が悪いわけじゃないんだよ。だけど、名前の通り量販することが目的だろ。金儲けが最優先だからな。確かに俺も儲かったよ。しかし、初めて魚釣りをする人にじっくり時間をかけて「魚釣りの本質」を語ることは、量販商売の理屈と合わねぇわけよ。例えば、魚達の成長の度合いや、その魚がどれほど素晴しい相手であるとかをさ、しっかり伝えることは量販店では難しいんだよ。そんなジレンマな時を重なるにつれて、『なんだかこれは俺の想う釣り道具屋じゃねぇぞ』と感じるようになったわけ。そんな時、海外の先進した魚釣りに接した時に『なんだこれは!』と、いやと言うほど思い知らされたよ。だってさ、使うラインの強度の3倍とか5倍、果ては10倍と言う重さの魚達を相手にする道具立ては、それまで想像したこともない魚釣りだったんだよ! おまけにさ、ちっちゃい魚は逃がしてやっても、数時間もかけてようやく手にした巨大な魚を、『大きくなれよ』と海へ帰してやるなんてことは、一度も目にしたことなかったからさ。ショックだったよ。大切なのは『道具立て』であって、『多獲のための道具』もあれば、『狙いの魚を釣るための究極の道具立て』もあるということが解れば、それはもう別世界への入り口だよ」と、熱く語る丸橋さん。その衝撃的な経験が、「釣具 太陽」から、ロッドビルディング主眼の「釣道楽屋 サバロ」への転身であった。

 

 

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「サバロには、最初からFujiのガイドを全種類置かせてもらったよ。お金はかかったけど、竿作るって言ってる店なのに、Fujiのガイドがないんじゃ話にならないじゃんな」と棚の引き出しからサイズ分けされたFujiガイドのボックスを取り出し、「トルザイトはすげぇな。間違いなく奇跡の素材だよ。他ブランドのガイドと比べても性能が違いすぎて意味ないからさ、ひとつ前のFuji-SiCや他社製品と比較実験したりしてるんだけど、まったくびっくりだよ。こんなすごい素材ないよ。間違いなく世界一だよ」と、Fuji-トルザイトをひとつ手に取る。「ガイドが軽く、小さくなるってことはさ、竿全体が軽く、細くできるってことなんだよ。『細、軽、ピン』この三拍子が揃った竿を目指してロッドビルディングをしてんだからさ、今持っている竿のガイドをトルザイトに変えるだけで、劇的に性能が良くなるわけ」と、話しに熱を帯び始めるが、残念なことがひとつだけあるという。

 

 

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「安いんだよ、トルザイトは。前のSiCと比べても劇的な進化している奇跡の素材なのに、安いんだよ。Fujiだけの世界一の技術なんだからさ、もっと高くてもいいと思うんだよね」と冗談交じりで話すが、最高の道具だけを追い求めてきたその真贋に、狂いはないという真剣さも伺える。
店にはさまざまな人が訪れる。自分だけのオリジナルロッドを作りたいという人や、壊れた竿を直してほしいという人、譲り受けた竿をリメイクしたい、餌釣りの渓流竿をテンカラ竿にしてほしいなど、その要望はさまざまだ。丸橋さんは、そんな多岐にわたるお客の要望を断ることなくすべて受ける。
「サバロでは『イクシーク』というオリジナルブランド竿を作っているけど、依頼される竿に、分別は一切しないよ。どんな竿だって直す。それがロッドビルダーとしての信条だな」と、どんなお客にも変わらない接客だ。それは「本当の魚釣り」を伝えるために開業したサバロの信条と同じなのかもしれない。

 

 

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「釣りに行こうと思うだろ? 本当の魚釣りは、そこからすでに始まってるんだよ。釣りたい魚を思い浮かべて、その魚を釣るための竿を手にする。そうなるともう水の中が想像できちゃうわけよ。お目当ての魚との顔合わせが待ち遠しくなるし、もしもその魚が釣れたら愛おしくさえ思えるんだよ。そのひとつひとつのプロセスすべてが、魚釣りの醍醐味なんだよ」と話す丸橋さんの言葉からは、「魚を獲りに行くのではなく、魚を釣りに行くー」という、一見同じように聞こえるようで、実はまったく違う性質の魚釣りがあるということを伺い知ることができる。「本当の魚釣りのおもしろさ」は、そんなところに隠されているのかもしれない。
「もう店は引退したから、今は助川にやってもらってる。こいつはすごいぜぇ、どんな竿だって直しちゃうからな」と、丸橋さんが紹介してくれた方は、サバロ二代目社長を務める助川博也さんだった。見るからに職人気質の男だ。
「助川は俺が誘ったんだよ。太陽の時に『ターポンを釣りたいんです!』って直談判してきたからな。ターポンを釣りたいって言ったってさ、南米だぜ。若ぇのに2年も連続で来るんだから、その魚釣りへの情熱を見抜いたわけよ」
この時、サバロはまだ創業3年目。ふたりは、師弟関係を保ちながらサバロを切り盛りし、「ロッドビルディングショップのサバロ、日本橋にあり」と、その名を日本だけでなく、世界にまで広めてきた。

 

 

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左がサバロ二代目社長の助川博也さん

 

 

サバロでは、世界を舞台にする魚釣りを紹介するだけでなく、年間を通していろんなイベントを行っている。禁漁期には、フライフィッシングのタイイングとキャスティングの教室を。4月からは、ルアーとフライフィッシングのシーバストーナメントなどだ。サバロのホームページ内には、イベントの雰囲気を綴ったブログもあるので、ぜひ覗いてみてほしい。

 


 

※看板の「ターポン」:正式名はアトランティックターポン。カライワシ目イセゴイ科の大型魚。体長250cm、体重161kgの記録がある。大西洋の熱帯から亜熱帯に多く生息。コスタリカの超大型ターポンを狙う丸橋英三氏の影響から日本での認知度が向上。本文にも記述している丸橋氏が釣り上げたターポンの写真は、55分間の格闘で釣り上げた記録的な大物だ。古代魚の風格を失わずして想像を超える引きの強さがあり、世界トップレベルのゲームフィッシュと言っても過言ではない。

 


 

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ロッドビルディングショップ 釣道楽屋サバロ

 

・住所 〒103-0023 東京都中央区日本橋本町1-1-4 大島ビル1F

・TEL 03-3201-2000

・FAX 03-3242-0228

・営業時間 平日11:00~20:00、土日祝11:00~19:00

・定休日 毎週火曜日

 


 

〈メモ〉

丸橋さんと助川さんが大好きなフライフィッシングと石鯛釣り、ルアー用品などを揃え、なによりロッドビルディング用品の品揃えは、日本トップレベルである。創業者の丸橋英三が「夢を売る店」と提唱しているように、魚釣りの舞台を世界に広げ、より深く楽しみたいというコアファンが多く訪れる。2013年から、釣り業界に多大な影響を与えている丸橋英三のDNAを受け継ぎ、二代目社長として助川博也がサバロを経営。「竿のビルド、リメイク、修理のことなら、どんな要望にも応える」という丸橋英三の教えを守り、時には師を超える確かな技術で新たなファンを増やしている。

 

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