富士工業本社 ビルディングルーム

FujiAUTHORIZED RODBUILDER NEWS

2018.6.14

GROOVER’S BEND(グルーバーズ ベンド)

SHOP -
INTERVIEW

九州の玄関口である博多駅から南北に縦走する国道505号線、博多市民はこの道路を親しみを込めて道路愛称の“筑紫通り”と呼ぶ。
普段から交通量が多く、市民の生活に密接に関わる筑紫通りを20分ほど走ると今回の目的地であるプロショップにたどり着く。
そのプロショップは、通りに面したテナントに店を構えており、車から降りると隣のラーメン店からは、本場のとんこつの香りが漂ってくる。
つい、この癖になる香りに気をとられているとプロショップ店内から聞き慣れた声が聞こえてきた。
そう、今回のショップインタビューは福岡県福岡市にある「GROOVER’S BEND(グルーバーズベンド)」だ。
 

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店内に入ると代表である桑野さんが、常連のお客様とオリジナルロッドについてお話をされていた。
しばらくの間、桑野さんの接客が終わるのを待ちながら、店内を見学させていただく。

グルーバーズベンドを一言で表現するならば、ルアーフィッシングの『セレクトショップ』だ。
店内にあるルアー達は、桑野さんの長年の経験から品定めしたものや釣り場での実績から選び抜かれたもので埋め尽くされている。
グルーバーズベンドには最新のルアーはほとんど見られない、どちらかというと“魚をひきつける”“食性や闘争心に刺激を与える”など、本来のルアーに求められる要素を強く持ったルアー達が多いのが特徴。必然的にアメリカンルアーに代表される海外製パッケージが目立つ。
バスフィッシングを長くやっている方なら、「懐かしい」「このルアーでよく釣った」と思わず声が出てしまうような『名作』ぞろいなのである。
別の表現をするなら、現在日本に流通している高性能ルアーの原型(ベース)となるルアー達ばかりなのだ。
そんなルアー達を見ているわずか5分ほどで、オリジナルロッドの仕様が決まり、お客様は店を後にした。

あらためて桑野さんに挨拶をさせていただき、取材の時間をさいていただいたことにお礼を言うと「今日の午前中は学校の講師、明日は工房での仕事、来週からは東南アジアに仕事に行くのでちょうど良かったです。こちらこそ九州まで足を運んでもらい申し訳ないです」と桑野さん。
そう、桑野さんはヒューマンアカデミーフィッシングカレッジ福岡校で、釣り業界関係ビジネスやショップ経営の講師を務める先生なのだ。
また、JB九州のトーナメントプロ、プロショップ経営、バスプロガイド、ロッドビルダーといくつもの顔をもっている。
それに加え、海外でのビジネスにおいても信頼できる人脈やフィッシング事情にも精通している人物なのである。

桑野さんに挨拶もほどほどにオリジナルロッドの仕様決定の速さをお聞きすると「先程のお客様はうちの常連さんだから、『どんなスタイルで釣りをするか』 がよくわかっているから要点だけ聞けば大丈夫」と即答してくれた。

オリジナルロッド制作と聞くといろいろな要望を聞き、仕様決定に時間がかかるイメージを勝手に持っていたが、グルーバーズベンドにおいては、あてはまらないようだ。

桑野さん曰く「うちのオリジナルロッドにはスタンダードラインナップがあり、そのベースとなるものにお客さまの要望があれば、アレンジを施すだけなので時間はかからないですよ」と丁寧に説明してくれた。

なるほど、兎角オリジナルロッド制作においては、お客様から抽象的な依頼が多いと言われるが、「完成度の高いスタンダードラインナップ」があるのは、依頼をする側も制作する側も意思疎通がしやすいということなのだろうか。

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グルーバーズベンドオリジナルロッド スタンダードラインナップをもつ桑野代表

得意とするオリジナルロッドの話しで、桑野さんのエンジンがかかってきたので、引き続きグルーバーズベンドの歴史についてお話を伺う。

「グルーバーズベンドは、私が33歳のときにオープンしましたので、今年で17年目に入りました。この店の前には福岡県久留米市にあるプロショップで、店長を任されていて、その当時にプロショップ経営に必要な知識や釣具の扱いの基本を学ばせてもらいました」

桑野さんが、福岡県久留米市のプロショップにいらしたことは知っていたが、グルーバーズベンドをオープンさせて17年も経過しているとは…

すこし不思議そうな表情を察した桑野さんが続けて話してくれた。

「17年というとすごく長い年月と感じるかもしれませんが、ご存じの通りグルーバーズベンドは私一人で、ほとんどをやっています。それに学校の講師、バスプロガイド、ロッドビルダー、JB九州のトーナメントプロ、オリジナル製品の企画・立上げ、店舗とは別にある工房での仕事(2名体制:制作専属の主任と桑野さん)など、店舗にいる時間の何倍も現場にいることが多いので、この店はほとんどシャッターが閉まっているのが実情です。
別の意味では、日本一営業時間が不規則なプロショップなのかもしれません(笑)
でも、多くのお客様に支えられて17年間、グルーバーズベンドは成長してきたと思っています。」

桑野さんにグルーバーズベンドの歴史を語っていただいたので、ぜひお聞きしたいオリジナルロッドについても質問してみた。

「オリジナルロッドの話になると長くなりますがいいですか…(笑)はじめて私がオリジナルロッドを手掛けたのは、店長を任されていた頃のプロショップ時代まで遡ります。
当時、ショップのオリジナルロッドを企画しようという話になり、いろいろなブランクスを入手して試行錯誤したのですが、あるブランクスを触れた時に今までにない“閃き”を感じたのです。その時の情景は今でも鮮明に覚えているほど衝撃的な出来事で、そのブランクスを使ったオリジナルロッドは多くのお客様から高い評価を得る事が出来ました。当時26歳でしたけど、その時に感じた“閃き”を今でもオリジナルロッドを企画する時は大切にしています。
具体的にいうと現在グルーバーズベンドのオリジナルロッドのスタンダードラインナップは、バス17機種、イカ(エギング)3機種になります。このベースとなるモデルをその時代にあわせてマイナーチェンジしてブラッシュアップさせるのが、グルーバーズベンドのスタイルです」

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オリジナルロッドの説明に熱が入る桑野代表

なるほど、完成度の高いオリジナルロッドだからこそ、流行り廃りの激しいバスのジャンルにおいてもマイナーチェンジするだけで、時代にマッチさせることができる究極のロッド。

この桑野さんの説明で、なぜグルーバーズベンドのオリジナルロッドが長く使われているのかがわかった。

では、ロッドビルディングについても聞いてみる。

「仕事柄、釣りが好きな学生と接する機会が多いのですが、ロッドビルディングをしている生徒はほとんどいないと思います。なぜなら、その世代は比較的安くても使用上問題ないロッドを手に入れる事が出来る時代に釣りを始めているからです。
あと、ロッドビルディングを難しいと思っているのも要因の1つだと思います。
釣りに興味があり、釣り専門の学校に通おうと思う生徒がそうなんですから、一般の釣り人なら、もっと敷居が高いと感じているのが実情だと思います。」

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そんな話をしていると店の前に一台の自転車が止まり、10代後半の若いお客様が入ってきた。どうやら、桑野さんが教える生徒さんのようで、シーバスロッドのトップガイドが取れてしまったとの事。

桑野さんが、穂先径をしっかり調べて来たのか?と質問しながら、トップガイド取り付けのロッドビルディングレクチャーが目の前で行われていく、すこし緊張した生徒さんと先生との良好な関係、適切なトップガイドを見つけ、接着方法もしっかりと理解したところで、少し安心した生徒さんの表情に店内は素敵な雰囲気に包まれた。

ロッドビルディングの啓蒙の必要性を感じながらも将来につながる世代が確実にいることに安堵して、今回のショップインタビューの終えることになった。
 

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「ものづくりはこだわり」がモットーの桑野代表

◆おススメ動画

『GBI月報』

https://www.youtube.com/user/kokubuya/videos

九州初のBASS WEBマガジン

グルーバーズベンド桑野代表が、2011年4月から毎月配信

桑野さんは、お茶受け的番組と謙遜していますが、このQualityは必見です !!


GROOVER’S BEND(グルーバーズ ベンド)

http://www.bassweb.tv/

・住所 〒816-0087 福岡県福岡市博多区三筑2丁目1-8
・TEL 092-588-2915
・FAX 092-588-2916
・営業時間 13:30~21:00

・定休日  木曜日


(メモ)

GROOVER’S BEND(グルーバーズベンド)には、ものづくりにとことんこだわる店主がいます。
そんな店主が手掛ける基本(ベース)がしっかりしたTACKLEが揃っているプロショップです。
おススメ動画の『GBI月報』では、そんなTACKLEが活躍しています。
わかり易い解説にも注目してみてください。

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