
2018.7.2
フィッシングチャンス和歌山店
小高い丘の上にたつ和歌山城、その美しい城から見える紀の川は、その昔天然の堀として城下町を守ったと言われている。
そんな紀の川沿いの幹線道路を30分ほど車を走らせていくと、コンテナ側面に「竿の悩みを解決します」というなんとも頼もしいキャッチフレーズが見えてくる。
そう、今回のFUJITACKLEPLUS+ショップインタビューは、和歌山県紀の川市にある「フィッシングチャンス和歌山店」だ。
フィッシングチャンス和歌山店の第一印象は、「大きな工場」がふさわしい。
一般的なプロショップと違う店構えに少々戸惑いながら店内に入っていくと、フィッシングチャンス和歌山店を統括している北山社長が、ちょうど修理を終えた竿の検品をしているところだった。
厳しいなまなざしで1本1本丁寧に検品している様子を伺いながら、落ち着いたタイミングで声をかけ、ご挨拶をさせていただく。
「こんな和歌山の田舎まで取材に来ていただいてありがとうございます」と検品の厳しい表情とは一転、とても優しく穏やかな口調で出迎えてくれた。
想像以上に若い北山社長に驚きながら、工房横にある応接室兼店舗スペースで、今回のショップインタビューが始まった。
まず、フィッシングチャンス和歌山店の歴史について伺う。
「この建物をご覧になって驚いたと思いますが、もともとここは『たわし工場』でした。当時マレーシアから輸入した『たわし』を加工、検品・包装して、ここで発送までしていました。私の亡くなった父親が営んでいた商売で、丁寧な仕事と高品質な『本物のたわし』として評判となり、全国から引き合いがあったそうです。看板に書いてある株式会社マルエイという社名もその頃から引き継いできたものです」
と北山社長は教えてくれた。
フィッシングチャンス和歌山店という店名にも関わらず、この佇まいに驚かされたが『たわし工場』からの名残りだとわかった。
また一番最初に目に飛び込んできたコンテナもマレーシアから『たわし』を輸入する際に使用していたものだと説明していただき納得。
しかし、ここで疑問として浮かんできたのは、なぜ『たわし工場』から、まったく結びつかない『釣具店』に商売が変わったのか?だ。
その点について、北山社長に質問を投げかけてみた。
「前社長は大の釣り好きでした。たわし工場を営んでいましたが、40歳を過ぎた頃に“釣りの仕事に携わりたい”という強い思いに動かされ、当時和歌山県橋本市にあった大手釣具メーカーの紀州工場に『釣り竿塗装の仕事がしたい』と自ら売り込み、飛び込んだそうです。
最初は失敗が多く本当に苦労したそうですが、並外れた努力と熱意が実り、約3年で『塗装検査での返品なし』という偉業を成し遂げ、多くの方を驚かせたそうです。
竿の塗装の仕事が軌道にのり、これからという時になったある日、釣具も時代の流れから国内生産から海外生産に移行が決定、紀州工場の閉鎖が決まってしまったのです。
本来なら、そこで大きく落胆するのでしょうが、前社長は努力と熱意の人、もともと竿の塗装の仕事を始める上で、釣具店の経営にも興味を持っていたため、今度は和歌山県岩出市に『フィッシングチャンス岩出店』をオープンさせたのです。
売り場面積100坪を超えるフィッシングチャンス岩出店は、連日多くのお客様に恵まれ、大学を卒業したばかりの私も自然に釣具店の仕事を手伝うようになったのです」
と父親でもあり前社長の熱意溢れる行動を北山社長は懐かしそうに話してくれた。
そしてさらに当時のことを話してくれた。
「しかし、徐々に釣りブームに陰りが見え始め、今度は釣具の薄利多売の時代に突入したのです。それは私も売り場にいて強く感じましたし、努力と熱意の前社長をもってしても経営は大変になっていきました。
そのような状況の中、“何か売上に繋がるアイディア”はないかと悩んでいたところ、あるお客様から『折れたバスロッドが直せないか?』と相談があったのです。
その相談を受けた前社長がとった行動は、大手釣具メーカーの工場で竿の仕事をしてきた経験を活かし、バスロッドを修理をしたところ、“折れる前と変わりない”とお客様より高い評価をいただくことが出来たのです。
そんな笑顔のお客様を見た時に『これからは修理の時代だ!』と感じたのです。
修理の依頼を受けたお客様同士で「チャンスに行けば、なんでも直してもらえる」という口コミも広まり、徐々に修理の仕事が増えていきました。それにあわせ薄利多売の釣具量販店の経営に区切りをつけ、ここ紀の川市に『フィッシングチャンス和歌山店』をスタートさせたのです」
と時代の流れに翻弄されながらも前社長の釣具への一途な思い、その思いを一番そばで触れ、フィッシングチャンス和歌山店を若くして引き継いだ北山社長が熱く語ってくれた。
では、ここからは北山社長にフィッシングチャンス和歌山店への思いと具体的な業務内容についてご説明いただく。
「フィッシングチャンス和歌山店の店名にある“チャンス”という名前は、釣具店の名前として覚えやすく、“チャンス”というプラスのイメージからつけています。また、竿の修理を本格的にはじめてからは、竿を折って困った時は『修理のチャンス』というフレーズにピッタリだと思っています。具体的な業務内容については、釣り竿に関する全てを対応できる一流の竿職人がいることが他店にはない強みです」
◆フィッシングチャンス和歌山店の業務内容
1.チャンスオリジナル商品の販売
(磯竿・磯タモの柄・マキエ杓・鮎竿・グラスソリッド船竿)
2.ロッドリメイク&カスタム
3.ロッド修理・改造 (渓流竿・インターラインロッドは除く)
4.ロッドビルディングパーツ販売
なるほど、フィッシングチャンス和歌山店では、既製品の釣り竿販売以外、釣り竿に関
する全てを対応できる竿職人集団がいるとわかった。
ここで、北山社長から伺ったフィッシングチャンス和歌山店が、もっとも得意とするロッ
ド修理・改造を行う一流の竿職人集団を紹介したい。
◆折れ竿の継ぎ修理のプロ
北山専務(前社長の実弟)
寡黙な職人を絵に描いたような北山専務、折れた竿の状態を瞬時に判断、長年の経験を
もとに素早く継ぎ修理する後ろ姿は「THE 職人」です。
◆竿塗装のプロ
杉原さん
前社長と同じく、大手釣具メーカー(2社)で、竿塗装の仕事をしてきた杉原さん。
竿塗装の技術指導者としての経験もあり、特殊な竿の塗装に合わせた塗料の調合、高い
塗装技術は神業です。
◆ガイド・グリップ交換のプロ
北山さん(北山専務の息子さん)
前社長のもとで竿修理のイロハを学んだ北山さん、ガイドの取り付け、グリップ交換と竿に付属するパーツを魔法のように操る若き職人。
フィッシングチャンス和歌山店には、前社長の釣具に対する熱き思いを引き継ぐ、一流の竿職人集団がいました。
また、若き北山社長は釣具量販店で学んだ接客、釣り竿の良し悪しを見定める厳しい目を持っています。
フィッシングチャンス修理協力店は、全国に80店舗まで広がっています。
お客様のピンチを“チャンス”に変えるのが「フィッシングチャンス和歌山店」です。
フィッシングチャンス和歌山店
http://www.fishing-chance.com/
・住所 〒640-0402 和歌山県紀の川市貴志川町北山698
・TEL 0736-64-8750
・FAX 0736-64-7645
・営業時間 8:00~18:00
・定休日 日曜日/祝日
(メモ)
和歌山県紀の川市にある「フィッシングチャンス和歌山店」には、一流の釣り竿職人集団がいます。
釣り竿が折れて困ったとき、愛着のある釣り竿をこんな風に改造できないかと思ったときは「修理・改造のチャンス」です。