
2018.9.18
フィッシングハウス 大郷屋
各地で記録的な猛暑がうたわれた日、琵琶湖東岸のさざなみ街道を走っていると夏の強い日差しが湖面を輝かせていた。
車をとめて外にでると湖上を通り抜けてきた心地よい風がいっときの涼を与えてくれる。
そんな琵琶湖湖畔から長浜市街地にハンドルをきると目的地が見えてきた。
今回のFUJITACKLEPLUS+ショップインタビューは、滋賀県長浜市にある「フィッシングハウス 大郷屋」が取材先。
OZATOYAと記されたカラフルなロゴ看板をくぐり、奥にある駐車場に車をとめるとボートが保管されていた。
そう、フィッシングハウス大郷屋は、釣具を扱うフィッシング事業部とボート事業部である「B-LAKES MARINE」を隣接し、アングラーを手厚くサポートしてくれているのだ。
店の入口を入ると店長の小寺さんとWeb担当の大原さんが出迎えてくれた。
大原さんに導かれ、店内奥に伺うと中川社長が事務所で待っていてくれた。
取材協力のご挨拶させていただき、中川社長から「大郷屋の歴史」、小寺店長より「店づくり」、大原さんからは「Webショップ」と順番にお話しを伺うという、いつもと違うスタイルでショップインタビューがはじまった。
さっそく、中川社長に大郷屋の歴史について伺う。
「この大郷屋は、昭和10年に祖父(一代目 中川文一)が創業した商売で、もともと金物屋を営んでいましたが、趣味がこうじて釣り竿をつくるようになったのがはじまりです。当時は竹竿の時代となり、材料となる竹や釣り具の絹糸、針などをここ長浜から自転車で関ヶ原を越え、岐阜の釣具問屋まで仕入れに行っていたそうです。また自分でとってきた竹は、火入れをして竿に仕上げていたので、私の父(二代目 中川伸治郎)は、幼いころから竿づくりを見て育ったそうです。
二代目の父は、当時木之本町にあった竿工場に修行に行き、竹竿の火入れの技術や竿づくりの基本を学び、店に戻ると竿づくりをしながら、中川家の長男として家族を養っていたそうです。
性格は根っからの職人気質で、決して商売が上手ではなかったようですが、二代目が得意としていたチヌ竿は、釣り人の好みにあった『絶妙な調子』と口コミがひろがり、その後手掛けた『海上釣り堀用の穂先』も人気を博して、今の大郷屋の基盤を築いたと聞いています」と中川社長は当時のエピソードを織り交ぜながら説明してくれた。
一代目、二代目も釣竿の仕入れや修行に自転車で出掛けていたというから驚きである。
昭和初期は道路も今のように整備されているはずもなく、雪深い関ヶ原を越え岐阜に向かうことがいかに大変だったか容易に想像がつく、これだけを聞いても竿づくりに対する情熱を感じる。
では、ここからは二代にわたり引き継がれた大郷屋をさらに発展させた三代目中川浩邦社長にお話しいただく。
「私が大郷屋を引き継いだのは33歳の時で、当時は釣具量販店が急成長し始めている時代でした。祖父、父と引き継いできた店を守るために同じことをやってもダメだと『釣具量販店には真似のできないことをやろう!』と考えたのです。店長といろいろ考え、最終的にたどり着いたのは、オリジナリティを生かした店舗とネット販売に共有した①『ロッドカスタム(竿づくり)』②『海上釣り堀用オリジナル穂先』③『インフレータブルボート事業』④『北湖をターゲットとしたルアーの在庫強化』⑤『ビワマス商材』の5 のテーブルを設けることにしたのです。この5のテーブルに関しては、どこにも負けないように日々試行錯誤しながら取り組み、現在の大郷屋のスタイルを確立させました」と中川社長は釣具量販店とは一線をおく、独自の経営方針とそれを軌道にのせるまでの苦労を懐かしみながら話してくれた。
なるほど、琵琶湖湖畔近くの釣具店と聞くとバス用品をイメージしがちだが、大郷屋店内には、バス用品の充実はもちろんのこと、二代目が手掛けた『海上釣り堀用穂先』など海釣り用品の多さが目立つ、またレジ横の一番目立つスペースには、『ロッドカスタム(竿づくり)』コーナーが大きく設けられており、一代目と二代目が築きあげてきた竿づくりのための店づくりが受け継がれているのがわかる。
店づくりの話しに移ったので、ここで大郷屋を長年切り盛りしている小寺店長よりお話しをいただく。
「店内をご覧いただいてお気づきになったと思いますが、大郷屋は『ロッドカスタム』と『海上釣堀用穂先』のコーナーが他店にはない大きな特徴だと思います。このジャンルは、大郷屋を語る上でのルーツであり最強の強みだと思っています。
私も店長として店の切り盛りをしながら、いつでも接客が出来るように店の一角に工房を設け、竿の修理や海上釣堀用穂先を製作をしています」
いつでも売り場で接客が出来るように考えられた工房で、海上釣り堀用穂先を制作する小寺店長の一コマ。
接客の時に見せる笑顔とは一転、工房に一歩踏み入れると一気に職人モードに入り、丁寧な仕事で穂先を仕上げていく姿は、2つの顔をもつマイスター。
この工房の第一印象は、「シンプルイズベスト」
必要最低限のツール、整理整頓された工房を見れば、そこでの仕事のクオリティーの高さが伺える。
工房を覗かせていただいたので、今度は売り場に目を移すとレジ横に大きく設けられた『ロッドカスタムパーツ』の豊富な在庫に圧倒される。
『ロッドカスタム(竿づくり)』に必要となるパーツが綺麗に陳列されているので、圧倒的な在庫量にも関わらず、非常に見やすいのが特徴。
やはり三代にわたり竿づくりを商売としてきた大郷屋だから出来る店づくりだと言っても良いだろう。
ロッドカスタムパーツに関しては、店頭販売とWebショップの両方が関わるため、今度はWebショップ担当の大原さんに詳しくご説明いただくことにする。
「大郷屋がWebショップをはじめたのは2004年9月頃だったと記憶しています。当時は本格的にロッドカスタムパーツをWebショップで販売する店は少なく、全国的にみても珍しかったのではないでしょうか?」と大原さんはいつものように穏やかな口調で説明をしてくれた。
大原さんは、さも簡単に2004年当時にWebショップをはじめた頃の話しをしてくれたが、ロッドカスタムパーツの無数にあるバリエーションを管理、店頭販売ではなくWeb上でお客様にわかり易い情報を提供することの大変さは想像以上に苦労したはずだ。
大郷屋のWebショップのロッドカスタムパーツサイトを覗くとモデル名やサイズなどの基本情報はもちろん、ロッドカスタムパーツを購入する時に必要とされる情報が網羅されている。
これら詳細情報は、ロッドカスタムのWebショップを利用した方なら誰しもが経験する「このサイズで本当によいのだろうか? という一抹の不安」を取り除いてくれる親切な情報であり、安心して購入できるサービスとなっている。
誰でも不安なくロッドカスタムパーツを購入できること、この「出来そうで出来ないサービス」に気づけるのは、大郷屋が竿づくりからスタートしているからなのだろう。
大原さんは、ロッドカスタムのエキスパートから初心者の方でも親切にどんな質問にも答えてくる相談役であり、ロッドカスタムパーツに精通している頼れる存在なのだ。
創業当初からずっと続けてきた竿づくり、時代の移り変わりや素材の進化はあっても竿づくりという商売の基盤を80年以上貫き通してきた大郷屋には、一代目二代目が大切にしてきたことを守りながら独自の経営方針でさらに発展させた三代目中川社長、親切な接客と竿職人の2つの顔をもつ小寺店長、Webショップを長年やってきたからわかる丁寧な対応をしてくれる大原さんがいます。
長浜市を含む琵琶湖北部は湖北エリアと呼ばれ、バス釣りの聖地とも言われています。
そのほど近い立地にある「フィッシングハウス 大郷屋」は、80年以上竿づくりに携わり、現在では『ロッドカスタムの聖地』となっています。
ぜひ、あなたもロッドカスタムの楽しさを教えてくれるOZATOYAと記されたカラフルな看板をくぐってみてはいかがでしょうか?
http://www.ozatoya.co.jp/ (フィッシングハウス 大郷屋HP)
・住所 〒526-0061 滋賀県長浜市祇園町292-7
■フィッシング事業部
・TEL 0749-62-5365
・FAX 0749-62-5386
・MAIL info@ozatoya.co.jp
■ボート事業部
・TEL 0749-68-0172
・FAX 0749-68-0173
・営業時間
月~土 9:00~20:00
日・祝日 9:00~19:00
・定休日 毎週火曜日定休
(メモ)
滋賀県長浜市にある「フィッシングハウス 大郷屋」
三代にわたり竿づくりに携わり、現在もその商売の基盤を大切に受け継いでいます。
レジ横にあるロッドカスタムコーナーの豊富な在庫量は必見ですので、一度足を運んでみてください。
遠方で店に出向けないという方でも大丈夫です。親切・丁寧なWebショップを覗けば、あなたが探しているロッドカスタムパーツが見つかるはずです。