
2018.9.21
プロショップ LUNKER’S(ランカーズ)
JR常磐線土浦駅から南西にすこし行くと春には桜が満開に咲き誇る「桜川」にぶつかる。
そんな桜川にかかる橋を渡りながら、遠くに目をむけると土浦市民の憩いの場である霞ヶ浦総合公園のオランダ風車がゆっくり回っていた。
霞ヶ浦からの心地よい風を感じながら、国道125号線をさらに車を走らせていくと「ベースボールキャップを被ったブラックバス」の看板が見えてくる。
そう今回のFUJITACKLEPLUS+ショップインタビューは、茨城県土浦市にある「プロショップ LUNKER’S(ランカーズ)」が取材先。
ランカーズの目印になっている黄色のコンテナ前に車を停めさせていただき店の入り口にむかう。
ランカーズを一言でたとえるなら、「アメリカのロードサイドにある釣具店をそのまま日本に移設したようなプロショップ」がイメージしやすい。
ビンテージ感あふれる看板の「LUNKER’S」のRの文字がないのもアメリカのプロショップらしさを醸し出している。
店内に一歩足を踏み入れるとそこには本場アメリカのプロショップがひろがっていた。
ウッドのロッドラックには一般の釣具店では見られないロッドが並び、カウンター越しのガラスケースには年代モノのオールドルアーが展示され、さらにアメリカ感を演出している。
店の奥に伺うと荒井店長が、見覚えのあるロゴ入りTシャツを着て出てきてくれた。
取材協力のご挨拶をさせていただき、店内に設けられたコミュニケーションスペースでショップインタビューがはじまった。
まず、店長である荒井淳一さんの経歴について伺う。
「私は以前大手釣具量販店に勤めていました。当時は釣具店の店員として忙しい毎日をおくっていたのですが、同時にソルトウォーターの老舗クラブの創設メンバーとしての活動もしていました」と話してくれた。
なるほど、荒井店長と話しをしていると釣具業界の第一線で活躍されているアングラーの名前が次々と出てくるのは、そんな経歴をもっているからなのだ。
でもここで1つの疑問が生じてきた。プロショップランカーズはバスのプロショップ。
ソルトウォーターの老舗クラブに所属していながら、なぜバスのプロショップなのか?
その点について、荒井店長に質問を投げかけてみた。
「現在はこのランカーズを私1人で経営していますが、創業当時は3人でスタートしました。どちらかというと他の2人に私が誘われてはじめたプロショップなのです。(笑)
あの頃のことを話すと長くなるのですが、簡単にいうと1993年に新たな事業のひとつとしてプロショップ経営の話がもちあがりました。でも私を誘った2人は他業種に従事していた人間だった為、その当時同じクラブで釣具店に勤めていた私に声がかかったということです」とシンプルに説明してくれた。
なぜバスプロショップなのか? という疑問についても続けてくれた。
「当時、ブラックバスのメインストリームだったアメリカには“未知のタックルがある”とわかっていました。『その未知のタックルを日本の釣り人に紹介したい』というのが、この店のコンセプトだったのです。ここ土浦市に店を設けたのも日本で2番目に大きな湖である霞ヶ浦が近くにあり、他の地域に比べ釣具店が少なく、ランカーズが掲げるコンセプトをお客様に伝えやすいと思ったからなのです」と荒井店長は“なぜ”という疑問を紐解くように丁寧に説明してくれた。
1993年といえば、釣具業界におけるブラックバスのバブル景気がやってくる少し前となり、ここ霞ヶ浦においてもブームの兆しがみえはじめた頃。
そのような状況の中、バスフィッシングがもっとも身近な遊び、トーナメントでは一大エンターテーメントショーとして確立されている本場アメリカのタックルを日本で紹介したいと考えた荒井店長の豊かな発想と行動力に驚かされる。
「店内をご覧になっていただいてお気づきと思いますが、ランカーズはアメリカ全土(カナダ含む)171店舗展開している巨大量販店の本社から直接仕入れていますので、他の釣具店では見られないタックルが目立つと思います。特にオリジナル製品についているロゴは目立ちますからね!」と荒井店長はTシャツのロゴを指さしながら笑った。
たしかに店内にはバスフィッシングをやっている方なら、一度は目にしたことがあるロゴがついたアメリカ製タックルが多く見られるが、荒井店長の長年の経験から厳選された日本製タックルもバランスよく品揃えされている。
ここまでは、ランカーズと荒井店長の経歴について伺ったので、次にランカーズの店づくりについて伺う。
「店づくりいうとおおげさかもしれませんが、ランカーズはお客様とともに楽しみ、悩み、一生涯付き合い続けるプロショップでありたいと思っています。
ランカーズという店名もミズーリ州スプリングフィールドに実際にあったプロショップからつけました。そのプロショップは、アメリカの巨大量販店のモデルになった店と言われており、「フィッシング」「ハンティング」に加え「ラウンジ&レストラン」があり、釣り人達の憩いの場となっていたのです。
ここランカーズもそんな釣り人の憩いの場となるような店づくりを目指しています。
ルアーフィッシングは、野生動物を相手に1対1で成り立つゲームであり、べつの意味では自分が信じたタックルを駆使してのぞむ騙し合いです。
そんなタックルに対する造形を深めていただく為のお手伝いをランカーズで担えればと思っています」とランカーズ誕生秘話、店づくりについて話してくれた。
荒井店長にいろいろなお話をいただく中で、『タックル』というキーワードが見えてきた。
では、その『タックル』を自ら手掛けることができる「ロッドビルディング」についてもお話しいただく。
「ロッドビルディングの楽しさは、自らがデザインしたロッドができることに尽きると思います」と言いながら、店の奥からオリジナルロッドを出してきてくれた。
まずは、クラシカルなキャスティングハンドル(FUJI製)を装着したランカーズオリジナルロッドを手にする荒井店長。
自らが手掛けたオリジナルロッドを持ち、思わず笑みがこぼれてしまうのを堪える荒井店長にタックルに対する並々ならぬ愛情を感じる。
続いて、最新のパーツを組み合わせたオリジナルロッド達。
スレッドによる美しい飾り巻やアワビ貝の輝きを取り入れたロッドなど、それぞれの個性が感じられる。
昨今のタックルは、軽さ・感度などロッドの性能面が前面に出てくることが多いが、このオリジナルロッド達には「基本性能+αの要素」が組み込まれていることがわかる。
ランカーズではオリジナルロッド制作依頼ができるのとあわせ、ロッドビルディング入門者に適した「ファーストステップ」用のガイドセットやパイプシートも取り揃っている。
店内にはガイド、パイプシート、グリップ素材、装飾パーツなどロッドを構成するパーツ毎で陳列されているので、はじめての方でも目的のパーツを見つけ易い工夫がされている。
最後に荒井店長にこれからロッドビルディングにチャレンジしようとする方にメッセージをいただく。
「ルアーメイキングには芸術的なセンスが絶対条件として必要になりますが、ロッドビルディングに関しては、基本『切って』『貼って』『つける』だけです。最初から高いクオリティーを求めなければ、皆さんが思っているよりも敷居は低いのです。
ランカーズは、1993年当時からアメリカの最新タックルを日本の釣り人に紹介してきました。ロッドビルディングに関してもアメリカは日本より歴史が古く、身近な楽しみということを知っていただき、たくさんの方にチャレンジしてもらいたいです」
荒井店長にロッドビルディングについて語っていただいたが、25年も前から国内のみならず、本場アメリカから直接タックルを仕入れ、そのタックルの良し悪しを見極める目を持ち、釣具業界を牽引するアングラーとも交流がある店長が営むプロショップがここ土浦市にあることが確認できたインタビューとなった。
・web http://www5b.biglobe.ne.jp/~LUNKERS/
・住所 〒300-0823 茨城県土浦市小松1-15-2
・TEL 029-826-5619
・FAX 029-826-5619
・営業時間 10:00~21:00
・定休日 水曜日(祝日の場合は営業、翌日休み)
(メモ)
プロショップランカーズには、アメリカの最新タックルはもちろん、国内のタックルにも精通している店長がいます。
あなたは、アメリカ製? 日本製? はたまた世界に1本しかないオリジナル? そんなタックルに関する悩みに親切に応えてくれるのが『プロショップランカーズ』です。