
2019.9.24
Pagos(パゴス)本店
その日、梅雨明け間もない広島駅に到着すると強い日差しと駅から近いMAZDA スタジアムからは、甲子園をかけた高校球児の熱戦の声が聞こえ本格的な夏を感じる。
車に乗り込み広島市民から「母なる川」と呼ばれている太田川沿いの国道を20分ほど走らせると今回の目的地にたどり着く。
駐車場に車を停めるとウッドの看板に「釣具&アウトドア用品 お売りください!」というメッセージが飛び込んできた。
そう、今回のFUJITACKLEPLUS+ショップインタビューは、広島県広島市にある釣具のリサイクルショップ 「Pagos(パゴス)本店」が取材先。
店内に入るとパゴス代表兼ロッドビルダーである山下修平さんが、常連のお客様と電話をされているところだった。
少し店内で待っていると電話を終えた山下さんが笑顔でレジカウンターから出てきてくれた。
ロッドビルディング用品売り場の前で取材協力のご挨拶をさせていただき、今回のショップインタビューがはじまる。
「遠くから来てくれたのにお待たせしてすいません、明日 常連のお客様が初めて釣りをされる方6名を連れて来てくださるので、イカメタル釣行の事前打合せの電話でした」と話してくれた。
山下さん曰く、今月だけでも4回、来月も5回とお客様との釣行の企画をしており、パゴスと遊漁船でタッグを組んで、初めてのお客様でも安心して釣りが楽しめるようなサポート体制が整っているとのこと。
今の時期はイカメタル中心となるが、スーパーライトジギングなど「流行の兆しのある釣りをパゴスではいち早くリサーチし、お客様に提案することを大切にしている」と山下さんは説明をしてくれた。
冒頭から楽しそうな釣行の話に気をとられてしまったが、インタビューに戻り山下さんの経歴について伺う。
「私は岡山県出身で、幼少の頃から釣りは身近な遊びとしてある環境に育ちました。
学校を卒業してからは、岡山の釣具量販店に5年、釣具メーカーに3年間勤め、釣具業界の基本を学びました。当時は忙しい仕事の合間をみつけては、瀬戸内を代表する投げ釣りやチヌ(クロダイ)のイカダ釣りなどを楽しんでいました。10代後半の頃にはルアーフィッシングが流行りはじめ、ルアーで狙うシーバスにも通いましたが、狙い通りに釣れないことが多く、もっぱら餌釣りの方が多かったです」と笑いながら話してくれた。
今の瀬戸内の海といえば、豊富な魚種に恵まれ、ルアーで狙うシーバスもメジャーになっているが、1900年代にルアーフィッシングが日本で流行りはじめ、ほとんどのタックルが海外製だった頃に代表的なバスフィッシングではなく、あえてシーバスを狙いに通っていたと話す山下さんに「流行の兆しをいち早くリサーチ」するというパゴスが大切にしている姿勢を感じとることができた。
オリジナルロッドを手にするロッドビルダーの山下修平さん
ここまでは、山下さんの経歴について伺ってきたが、次に「パゴス」についてお話を伺う。
「パゴスは広島市内に パゴス本店 パゴス矢野駅前店 パゴスマリーナホップ店の3店舗展開しています。
歴史と言えるかわかりませんが、1999年7月3日に広島市安佐南区にパゴスを開店しました。
2005年に店舗拡大の為に現在の場所に移転しましたが、今年の7月でちょうど20周年の節目むかえたところです」と嬉しそうに話してくれた。
そして、そのまま当時の話しを続けてくれた。
「パゴス開店当時は、釣具のリサイクルショップという概念がなかった時代ということもあり、釣具の商売として軌道にのせるまですごく苦労しました。でも、1人の釣り人として、『あったらいいな~』という想いから起業することを決めたので、国内はもちろん海外まで足を運び、おもしろそうな釣具を仕入れてきては、お客様がパゴスに買い物に来ていただけるようにやってきました。20周年の節目もお客様に支えられてむかえることができました」とお客様への感謝とパゴス開店当時の苦労話しをしてくれた。
たしかに現在では釣具のリサイクルショップは、日本全国のみならず海外展開までされ
「釣具を売りに行く」「リサイクルの釣具を買いに行く」ということが当たり前の時代になっている。
しかし、1999年当時は大手釣具リサイクルショップも設立される前となり、相当なご苦労があったと想像がつく。
山下さんは穏やかな口調で当時を思い出しながら話してくれるが、1人の釣り人として『あったらいいな~』という思いが、いかに強かったのかということが、山下さんの少し強くなった口調からわかった。
では、「Pagos(パゴス)」という響きの良い店名についてはどうだろうか?
「Pagos(パゴス)という店名については、よくお客様からは『ガラパゴス(笑)』と言われますが、実は私が考えた造語なのです。
英語の『Pal(パル)=仲間』『Go(ゴー)=行く』『Sea(シー)=海』という3つの単語を組合せ“仲間と海に行こう”という想いがこめられています」と楽しそうに教えてくれた。
“仲間と海に行こう”という店名にこめられた山下さんの想いには、豊かな瀬戸内の海を見て育ち、釣りの楽しさや釣れた時の喜びを仲間と分かち合うという、釣りという遊びの本質的な部分がこめられていることがわかった。
最近ではSNS普及により釣果情報がどこにいても得られる便利な時代となり、釣りも単独行動が多くなってきていると聞くが、ここパゴスには釣具を売るということ以外に「楽しさや喜びをお客様に提供したい、仲間と分かち合いたい」という山下さんの想いが詰まっている。
パゴスホームページにある「スタッフ釣行記」を覗いてみて欲しい、お客様との釣行の様子やスタッフが笑顔で釣りをしている様子がたくさん見ることができる。
スタッフ全員が“大の釣り好き”で、自らが体験した楽しい釣りをお客様に紹介したい、最適な道具を提案したいという気持ちが伝わってくる。
ここからは、FUJITACKLEPLUS+ショップインタビューの核心であるロッドビルディングについて山下さんに伺う。
「私がロッドビルディングをはじめたのは、釣具量販店に勤めていた時代まで遡ります。
はっきりと記憶している訳ではありませんが、お店に来ていたお客様か釣具メーカーの営業の方から教えてもらったと思います。
チヌ(クロダイ)のイカダ釣りにハマっていた頃でもあり、竹を切ってきてグリップを作ったり、藤巻きをしてみたりといろいろなことにチャレンジをしながら、ロッドビルディングの技術を身につけていきました。
パゴスにご依頼をいただくロッド製作は、私が事務所に併設した工房で行っていますが、パゴス本店とパゴス矢野駅前店のスタッフもロッドビルディングに精通していますので、ロッドビルディングや竿修理に関するご相談をお受けすることもできます」と教えてくれた。
パゴスのロッドビルディング用品売り場を見るとロッドビルディングの基本となるパーツ類が多く取扱いされているのがわかる。
「ロッドビルディングも流行り廃りが早いので、パゴス開店当時からお客様のニーズを聞き、吟味しながら今の品揃えにしてきました」と山下さんは説明をしてくれた。
パゴスは釣具のリサイクルショップ、毎日多くの釣具が店頭に持ち込まれ、リサイクルされた釣具が買われていく、つまりパゴス店頭ではその時代における釣具の流行り廃りの情報が常にアップデートされ、山下さんはじめスタッフは、その情報をもとにお客様への最適な提案が出来るということになる。これは他の釣具店には出来ないサービスであり、ロッドビルディングにおいても流行り廃りに影響されず長く使えるスタンダードなスタイルや逆に最先端のスタイルにこだわったオリジナルロッドの提案を受けることが出来ると言っても良いだろう。
また、パゴスでは、ロッドビルディングパーツ販売、オリジナルロッド製作、竿修理のほか、お客様がガイド巻きした後のエポキシコーティングのみを請け負ってくれるサービスも行っているとのこと。
エポキシコーティングは硬化不良などロッドビルディングの中でも一番神経を使う工程となり、広いスペースを必要とするため、このようなサービスは大変ありがたい。
最後に山下さんよりロッドビルディングについてパゴスからのメッセージとしていただく。
「ロッドビルディングを難しいと思われている方はたくさんいると思いますが、決してそんなことはありません。自宅に眠っている竿のガイドを交換するだけで見違えるような竿に生き返らせることが出来るのがロッドビルディングです。パゴスにはリサイクルの竿をたくさん揃えていますので、店頭で竿を選んでいただいて、自分好みの竿にカスタムする提案も出来ますので、気軽にスタッフに声をかけていただければと思います」と山下さんから「ロッドビルディングに興味があるけど…」という方にも一歩を踏み出せる心強いメッセージをいただき、今回のショップインタビューを終えることとなった。
パゴスには、“仲間と海に行こう”という気持ちにさせてくれるスタッフがいます。
釣りもロッドビルディングも大好きなスタッフが、流行の兆しのある釣りの話しやお客様にとって最適なタックルについて提案をしてくれますので、是非覗いてみて下さい。
パゴス代表兼ロッドビルダーの山下さんとパゴス本店スタッフ
・住所 〒731-0102 広島県広島市安佐南区川内6-8-3
・TEL 082-879-1830
・IP電話 050-3353-3723
・営業時間
平日 11:00~20:00
土・日・祝日 10:00~20:00
・定休日 年中無休(年末年始を除く)
・住所 〒736-0085 広島県広島市安芸区矢野西1丁目33番19号
・TEL 082-516-5570
・IP電話 050-3521-5656
・営業時間
平日 11:00~20:00
土・日・祝日 10:00~20:00
・定休日 火曜日
・住所 〒733-0036 広島県広島市西区観音新町4-14 マリーナホップ内
・TEL 082-297-4078
・IP電話 050-3642-2537
・営業時間
平日 10:00~20:00
土・日・祝日 10:00~20:00
・定休日 年中無休(マリーナホップ全体の休日日程に準ず)
(メモ)
パゴスは広島市内に3店舗展開しています。ロッドビルディング用品の販売やご相談は、
パゴス本店とパゴス矢野駅前店にいるスタッフが親切丁寧に対応してくれます。
釣具のリサイクルショップだから、掘り出し物の竿を見つけて自分好みにカスタムする提案などロッドビルディングへの一歩を踏み出させてくれるお店です。
釣りもロッドビルディングも大好きなスタッフがあなたのスタイルにあったオリジナルロッドに導いてくれますよ。